はじめに
筆者は市販の架台を使って自宅のバルコニーに太陽光パネルを設置し(と言ってもただ置いているだけだが)、電気の半自給生活を楽しんできた。
コスパも良く、当初はこれでも十分に満足していたのだが、もう少し我が家の立地・環境合った使い勝手の良いオリジナリティーあふれる架台を自作してみたくなってきた。
本記事では単管パイプを使った「拡張性の高い太陽光パネル架台」の作り方を紹介しよう!
本記事のポイント:
単管を使った架台つくりの前提
今回の架台つくりの前提は以下の通りである。
- 必要最小限の材料費でつくる
- 簡単に移動できるようにする
- パネルサイズ変更にも対応できる
- これまでよりも高い位置でパネルを固定する
①必要最小限の材料費でつくる
単管やジョイントなどの付属品は、一点一点は比較的安価だが、数が増えれば材料費もばかにならない。
脳内設計やメモ書きで最小の部品点数で最大のパフォーマンスをあげるような設計を考えた。
また、単管の標準サイズはJIS規格によりΦ48.6mmと決まっているが、世の中には小径の単管も商品化されている。
筆者が実際にホームセンターで触ってみたところ、さすがに業界最小サイズのΦ19.1mmは弱々しい感じがしたので却下したが、Φ25.4mmはDIYレベル(最大でも200Wパネル2枚程度)であれば十分に対応できそうだった。
なので、今回はΦ25.4mmサイズの単管を採用することとした。
もちろん小径の単管にするとその分コストも下げることができる!
②簡単に移動できるようにする
我が家ではバルコニーに太陽光パネルを設置しているので、自宅にいるときは太陽の位置に合わせてパネルを移動し、朝から夕方まで目いっぱい太陽の光エネルギーを受け取りたい!
これまでは2枚のパネルを別々に取り付けた市販の架台の下に銀マットを敷いて、銀マットごと引きづることでパネルを移動していた。
これはこれでローテクながら比較的楽な方法だったのだが、単管を使った架台だと大きくてかなり重くなるのでこの技は使えそうにない。
なので、単管に車輪をとり付けて縦横無尽に移動できるような設計を考えた!
③パネルサイズ変更にも対応できる
筆者はこれまでは100W×2枚の太陽光パネルで運用していたが、近々200Wクラスのパネルも視野に入れた増設を予定している。
パネルサイズが変わる度に、架台も一からつくり直しではあまりにも悲しい。
なので、100Wであろうが200Wであろうが、幅、長さとも十分に余裕がある拡張性の高い設計を考えた!

ちなみに今回の設計では、パネル2枚を横向きに載せる前提でいうと、1枚あたりのパネル幅:90cm、長さ:140cm程度のパネルまで対応可能だ!
④これまでよりも高い位置でパネルを固定する
これまで使っていた市販の架台は、ほぼパネルピッタリのサイズであった。
これはこれでスッキリして見た目には良いのだが、バルコニーに設置する場合、1m程の既存の手すり付き壁が反りたっているため、太陽の位置が低い時間帯はなかなかパネルに光が当たらないという問題があった。

なので、新しく設計する架台は、高めの位置にパネルを固定できるように工夫した。
材料一式を紹介
まずは今回の架台つくりに使った材料一式を紹介しておこう!
太陽光パネル2枚を固定する前提である。
- 単管パイプ(Φ25.4mm×2m:8本)
- クランプ(Φ25.4mm 直角固定:8個)
- クランプ(Φ25.4mm 自在:4個)
- エンドキャップ:14個(下向きのパイプはむき出しのままにする)
- 鉄用水性塗料(小1缶)
- U字ボルト(配管20A用)+固定バー+ナット×4セット×2=8セット
- 車輪×4個(耐荷重25㎏/個 ロック機構付き)
- 車輪固定用抑えプレート(2枚×4=8枚)
- 車輪固定用M5ステンレスボルト・ナット・ワッシャー(各4×4カ所=16個)
- 両面テープ(車輪固定の緩衝材+補強)
なんだかんだで材料費はTotal22,000円ほどであった。
いよいよ架台を組み立てる!
作業手順
- 単管を必要な長さに切断する
- 単管を塗装する(防錆+見た目改善)
- 単管組み立て(現場合わせ:幅が大きすぎたため途中でサイズを変更)
- 車輪取り付け(ボルト・ナット・ワッシャー+プレート)
- 太陽光パネル装着(U字ボルト・ナット+プレート)
- 並列配線(MC4ケーブル・ダイオード)
- 完成
作業の様子を紹介!
では、写真タップリで作業の様子を紹介していこう!
①単管を必要な長さに切断する


今回入手した単管は全て2mだったので、さすがにそのまま使うには長すぎる。
金切鋸で
- 1.6m×2本(底面幅方向バー:もともとは1.7m×2本だったが途中で再切断!)
- 1.7m×1本(上部角度調整保持用バー)
- 1.8m×2本(底面長手方向バー)
- 1.0m×2本(高さ方向バー)
- 2m×2本(加工なし:角度+太陽光パネル取り付けバー)
に切断した。
ホームセンターで格安で切ってもらうこともできるが、筆者は以前、庭づくりのDIYで単管を自分で切断したことがあるので、今回も全て自分で切断した。

パワーさえあればそれほど大した作業ではない。このような切断行為は前腕と上腕三頭筋のトレーニングにもなるのだ!
②単管を塗装する(防錆+見た目改善)
塗装しなくても特段問題ないと思うが、見た目と長期的な運用を考えているので、耐久性(防錆効果)も兼ねて塗ってみた。




このような塗装の前には必ずシリコンオフで脱脂しておこう。
後々の耐久性に圧倒的に差が出る。

塗装は下地作りが超絶重要なのだ!
尚、どっちみち単管を組むときに多少こすれて塗料が剥がれるので、そこまで神経質にきれいに塗りこむ必要はない!
ちなみに写真の後ろに見えているフェンスも単管とラティスフェンスを使った筆者の自作である。つくり方に興味がある方はこちらの記事も合わせてどうぞ!
③単管組み立て
ココからは脳内設計に従ってガンガン組み立てていく!




快調に組み立てていったのだが、試しに途中で持ち上げて回転させようとしたときに、幅方向が大きすぎてバルコニーにわずかに干渉することが判明!
せっかく組み立てたのだが、一度ばらして底面の幅方向バーの長さを1.7→1.6mに再カットした。



最後に角度(ほぼ30°に設定)に太陽光パネルを装着するための単管2本を斜めに取り付け、エンドキャップを14カ所取り付けて組み立てまで完成!
専用のクランプをうまく使えばいかようにも組み立てることができる!
④車輪取り付け
太陽の向き合わせて自在に回転移動させるために、底部の単管に4カ所360°回転できる車輪を取り付けた。
もちろんロック機構付きだ!



上の写真で、なぜボルトを上から挿し込まないのか疑問に思う方がいるかもだが、そうすると車輪にボルト余りが干渉してうまく動かないことが判明したのだ(下記写真参照)。
ボルトの長さを短くすればいけるかもだが、ナットの遊びが少なくなり構造上の不安が生まれるし、せっかく購入した材料を活かしたかったので、今回はボルトの長さは変更しなかった。



このやり方は今はがっちり固定されているが、運用していくと緩む可能性は十分あり得るので、今後改善の余地アリかもしれない。

まあ、バルコニー内だけの短い移動なので、頻繁にメンテナンスが必要にならない限りこのままでもいいような気もするが?しばらく使って様子を見てみるつもりだ。
⑤太陽光パネル装着(U字ボルト)
いよいよ太陽光パネルを取り付ける。
今回使った太陽光パネルはレノジーの旧タイプ100W×2枚であるが、これから購入するならレノジー高効率の新製品をおすめする。

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各メーカーの100Wソーラーパネル最新モデルが気になる方は、こちらの記事が参考になるだろう。
一枚目のパネルは下から取り付けた方が作業性が良い。
また、筆者と同じく1人で作業する場合は、ステップをうまく使ってパネル位置を調整しながら取り付けると楽に取り付けることができる!






2枚目のパネルを1枚目の上にピッタリくっつけてもよい(この方が固定時の作業性も良い)が、筆者は下から風にあおられた時の風圧を逃がすため、5cmほど空ける設計にした。

以前真冬の暴風雪の日にバルコニーの壁にあたった風の跳ね返りと思われる下からの風圧影響で(筆者の推定原因)、パネルがひっくり返ったことがある・・・

⑥並列配線(MC4ケーブル)

100W×2枚を並列接続させているので、下記の並列用コネクターを使用している。
また、念のため逆流防止としてダイオードもかませている。
配線の引き込みについてはこちらの記事に詳しく紹介している。興味がある方はあわせてどうぞ!
⑦完成

今回は100Wパネル×2枚を取り付けたが、見てお分かりのように、100Wサイズだと横向きに余裕で3枚装着が可能だ。
また、幅(長手)のサイズは斜め単管の2本の上下固定位置を変えれば最大140cmまで拡張可能という優れものの設計になっている!

茶色の単管も外壁の茶系とマッチしていい感じだ!もしも施工作業時の塗装剥がれが気になるようなら、この段階でもう一回上塗りすると良い!
実践運用レビュー!
早速数週間実践運用してみた感想を紹介しよう!
以前の架台では5月の時期であれば、7:30頃〜14:00頃までしか発電できなかったが、バージョンアップした架台ではパネル位置が高いため、6:30頃〜16:30頃まで発電できるようになった!
太陽のあたり方も均等で良くなったためか、発電効率も上がったような気がする。特に薄日の時に違いが顕著!
太陽の位置に合わせての移動もスムーズで、立ったまま楽に移動させることができるようになった。
注意点:暴風対策
今のところ不具合は一切ないが、先に紹介した暴風対策は必至!
この場合、以下の対策で対応する!
重しはブロックやレンガでも良いが、これらは大きくて嵩張る割に意外と軽い(材料がスカスカで密度が低いため)。
筆者もこれまではレンガを載せていたが、新しい架台ではさすがに心もとない。
幸い、我が家には筋トレ用のプレートがたくさんある。
固定にピッタリだ。
ただし、そのまま底面の単管にのせると車輪や塗装にも悪影響を与えそうなので、直接載せるのではなく、ロープを使ったアンカー方式で対策することにした。

まとめ
本記事の作業は普通にやれば丸2日程度(塗装があるので、1日では終わらない)で完了すると思うが、今回は脳内設計にミスがあり、、、部品が足りなかったり、ボルトの長さが短かったりと、何度もホームセンターを往復するロスが発生した。
やはり、きちんとノートに書きこんで必要な部品を丁寧にカウントしてから作業開始することをおすすめする!

とは言っても、DIYはこのように試行錯誤しながらやるのが面白いのだ!
もちろんTotalコスト的には市販の架台を購入した方が安いが、拡張性の高さとそれぞれの使用場所にカスタマイズできるという点で、自作も大きなメリットがあると思う。
太陽光パネルの架台を自作で考えている方は、是非本記事を参考にしていただき、電気の自給生活を楽しんでいただきたい!
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